#お散歩#乳酸#高尾山

そうだ、高尾山だ

写真と文:横田朱香

目覚めたらお昼の12時。
本当は午前中に家を出て、最近お気に入りの近所のカフェと銭湯に行くはずだったのだが、 かけたアラームはいつの間にか止まっていた。

就寝前にダラダラ手持ちポケモンのレベル上げに勤しんでいたことが響いたな、とやや後悔したところで、ふとゲームの合間に見たInstagramのリール動画が蘇ってきた。


「そうだ、高尾山だ」

かれこれ十年くらい前に一度登ったきりの高尾山。
ケーブルカー駅、お店、トイレ完備で、しっかり舗装もされた初心者向けの道があり、街を歩くのと変わりなく楽に登れ記憶がある。
また昨夜見た動画でも、13時からスタートをし、途中までリフトを併用することで1時間もかからず山頂に到着していた。

午後出発でも暗くなる前に下山できそうということで、高尾山へ向かうことを決めた。
森林浴を楽しみいそいそ準備を進め、家を出た。

高尾山口駅に到着すると、時刻は14時。
家を出た時には晴天だった空がうすくに覆われ、ひんやりとした風が吹くやや肌寒い天気になっていた。
(個人的には、カンカン照りよりも歩きやすい天気で嬉しかった)

行きはリフトで中腹まで向かう。
スキー場で毎度緊張するリフトを思い出し、内心ヒヤヒヤしながらベルトコンベアに立った。
(機械を止めてしまうことなく座れて本当に良かった)

約12分間の空中散歩。
かつて高尾山に登ったの記憶を振り返りながら今の自分と対話をしていた。

「なんであの時はそう思ったのか」
「何が自分をそうさせたのか」
「どこを解決すればよかったのか・・・」

最近こういう時間が取れていなかった。
人の意見を受け止めて共感を示すことは楽にできても、自分の想いを言語化するのはどうにも昔から苦手だった。だからこそ自分へ問い、考えをめぐらすことで何となく考動の解像度が上がってくる。

「じゃあそこからどうしたい・・・?」
自分に問うてる内に気付いたら降り場が近いというアナウンス。
(流れを止めてはいけない一心で小走りで降りたが、そんなに急がなくてもよさそうだった。走っていたのが私だけでちょっと恥ずかしい。)

大して動いていないが、ひと休みしようと途中のお店に立ち寄った
ベンチに座って眺めると、思ったよりも高い場所に来ていた。
白く霞む街を見下ろしながら、お団子をかじり、再スタート。

山々の緑豊かな自然に囲まれながら歩き、脳内で先ほどの問いを繰り返す。
こういう時によく「頭を空っぽにする」という話を聞くが、それってかなりすごいことだと思う。
目に映るもの、匂い、音など、何かしら入ってくる情報に、必ず反応してしまう。
ただ単にボーっとすることはできても、「頭を空っぽ」にすることは私にとってとても難しい。
なので「頭を空っぽ」にすることは諦めて、永遠に自問自答を繰り返していた。

途中、薬王院でお参りをし、さらに山頂を目指していく。
「あの時に戻れたら何をするか?」「違う選択をしていたら?」などちょっとばかりのタラレバを織り交ぜつつ、思考と気持ちをととのえていく。

 

RR COFFEEチームの先輩である、ひかひんさんから「横田はちょっとずつ、本当に小さな一歩一歩を重ねながらできることを増やしていくタイプだね」と言葉をかけてもらったことを思い出した。
ひかひんさんのように、大胆に一歩が踏み出せたらかっこいいが、私は自分に問いながらゆっくり歩む方が向いている。

また一つ自分への解像度が上がった。
自分のスペックも出せる技もゲームのように可視化できたらわかりやすいのにと思いながらも、それはそれで凹むことが多そうだなんて考えたりした。

 

ふと気が付くと今居る上り坂の先がやけに明るい。
その明るい空間の先から、人々の明るい声が聞こえてくる。

私もちょうどととのった頃合い。
運動不足の脚に一丁前に溜まった乳酸に抗いながら、数歩先の頂上に向けて小さいけど確実な一歩を踏み出した。

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