3. 復興応援ふるまいコーヒー
真新しい珈琲屋台2号車は、熊本県・八代市坂本町へ向かった。思い出の詰まった材を活用させていただいた屋台(詳しくは前ページへ)のお披露目と、ささやかな復興応援としてふるまいコーヒーをお配りすることが目的だ。
◇
坂本町・坂本中学校
まずは八代市立坂本中学校で行われた地域イベント『みんなdeさかもとcafe』へ参加させていただいた。
雨が降り出した。中国では、初日の雨は恵みをもたらすものとして大そう縁起が良いそうだ。
賑やかな体育館では、サンドアートのワークショップや手作り工芸品の販売、高校生ブラスバンド部による演奏などイベントが盛り沢山。お子さんからお年寄りの方々まで、さながら地域大集合。
RR COFFEEとして初めての試み、ふるまいコーヒーをお配りした。結果は、大盛況!ドリップが追いつかず、お待たせしてしまうことも。
坂本町・復興商店街
翌日、家屋と同様に熊本豪雨で被災した地域の商店を、仮設店舗として再建した『さかもと復興商店街』にて。淹れたてのふるまいコーヒーをご提供。飲んでくれた方が、ご近所さんを呼び込んでくれたりもした。
球磨村・球磨村総合運動公園(さくらドーム前)
球磨村総合運動公園仮設住宅には、数十世帯が生活されていた。区画内には郵便局や美容院などもあった。子ども達はスクールバスに乗って、被災を免れた学校へ集団登下校していた。
球磨村地域支え合いセンターのご協力で、私たちの訪問が事前周知されていた。そのおかげで、屋台を開いてすぐに沢山の方々が集まってくれた。
コーヒーを飲みながら、たくさんの話を聞かせていただいた。熊本豪雨から2年が経った上に、コロナ禍が重なったことで、外部からの支援や注目が減ってきているそうだ。仮設住宅の若い世代は他地域に生活再建し、徐々に転居していく。地区内の交流イベントも企画されてきたが、感染拡大のために実現できなかったものも多いという。今もここで生活している方たちは、この状況に寂しさを感じている。
被災当時の様子を話す表情は穏やかではあるが、本当の辛さは当事者しか分からない。ご自身も被災した溝口さんも、その気持ちが痛いほど分かる。だからこそ、被災家屋の一部でも、そこに詰まった記憶とともに残していきたいという強い想いがある。
よそ者である屋台をきっかけに久々に顔を合わし、話が弾む人たち。「ばかうまかー」と言って、コーヒーとおしゃべりをおかわりにくる人。そんな、つながりのきっかけを少しでもお手伝いできたのなら嬉しい。
そうしているうちに帰ってきたバスから、元気弾ける子どもたちが飛び出してきた。
温かい充実感を携え、明日に向けた振り返り会議だ。
球磨村大王原公園
やはり仮設住宅の抱える悩みは似ている。他地域に生活再建の目途がたった世帯から転居していく。少しずつ空き家の増えていく様子は、もちろんとても嬉しいこと。けれど、残る人は寂しさをつのらせる。そしてどこでも元気な子ども達は、皆の気分を明るく照らす。公園で走り回る子たちに、まんまと水鉄砲攻撃を仕掛けられた。
自分の部屋から珈琲屋台までの数十メートルを歩くことも難しい方もいると知った。それからは地区内を歩き回り、お声がけをして、出来立てコーヒーの出前をしていった。
「東京から遠くて大変なのに、ありがとうねぇ」
なんて言われるけれど、被災地の皆さんの方が比較にならないほど大変なのにな。同情するのではなく、同じ目線で話を聞いてくれることが嬉しいのだと、後で溝口さんが教えてくれた。
人吉市・前村町内会館
連日、テレビ局や新聞社等の各メディアに取材いただいた。被災から時が経っても、遠くから気にかける人がいる。それが伝わるだけでも意味があるのだと思う。
先々で様々な差し入れをいただいてしまった。
人吉市・村山公園、西間上第一
この日は、立て続けに3箇所へお邪魔した。私たちの到着を待ち、手を振って迎えてくださる方もいて、胸が熱くなった。
「4. にぎわい作り、続くつながり」へ続く