続くつながり、再会
私たちRR COFFEEの珈琲屋台の一部は、
2020年7月の熊本豪雨で被災された家屋の古材を再生活用している。
通常、被災家屋から出た木材や家具は「災害廃棄物」つまり可燃ごみとして処分されてしまう。しかし、そこには暮らしていた方々の生活の記憶や地域の文化が詰まっている。
その被災古材をなにか形として残せないかと考え、珈琲屋台の一部として蘇らせた。
そして今年(2023年)の3月、昨年6月の復興応援の旅に続き2度目の熊本へ。ささやかでも人の繋がりや地域の関係性をRestoreするお手伝いができればと、いまだ仮設住宅にお住いの方々へ心ばかりのエールとして1杯の珈琲をお配りさせていただいた。
桜の木の下で久しぶりの再会。
今年も球磨村総合運動公園(さくらドーム)仮設を訪れた。珈琲屋台をみつけると「あら、今年もきてくれたの?!」とお住まいの方たちが集まってきてくださった。中には昨年のうちに生活再建が進んで仮設住宅を出た方もいる。みんなで珈琲を片手に桜の木の下でお花見をした。
約1年ぶりにお会いする方も初めましての方も関係なく、皆さんが「久しぶり!」「最近どう?」と、珈琲片手にお話しする時間は素敵だった。
お話を聞くと、今では仮設の半数以上が空室となっているそうだ。
「仮設住宅は生活再建された方から退居されることが前提。中にはいつしか巣立っていく方も多く誰がどこに行ったかわからないこともあるような切ない関係性。だからこういう集まりがあるととても嬉しい」と、しみじみとしたお言葉をいただいた。
新しい場所で生活を再建し、転居されることはとても嬉しいこと。だけれど、残される方はきっとさみしい。皆さんのつながりを維持することに少しでもお手伝いできたのなら嬉しいなと思った。
シアワセを運ぶ四つ葉のクローバー
前回お邪魔できなかった人吉市にある西間の第2仮設を訪れた。
お住まいの方が大勢集まってくださり、今回の旅で一番の大盛況。
「淹れたては美味しいね」 という嬉しいお言葉をたくさんいただいた。みんなで珈琲を飲んで心も体もぽかぽかした。
途中、おばあちゃんたちが「いいものがあるからこっちにおいで!」とお家の前まで呼んでくださった。おばあちゃんたちは、ある一つの鉢を見せてくれた。
そこにはなんと、たくさんの四つ葉のクローバーが咲いていた。
水害で色々なものが流されてしまった中、唯一残ったクローバーの一房を、別の鉢に植えて育てていたら、そこから沢山の四つ葉のクローバーが咲くようになったそう。
シアワセを運ぶと言われる四つ葉のクローバーがこんなにたくさん育つなんて、奇跡。
神様が見守ってくれているような気がした。
昨年と変わらずこの場所で
昨年に続き村山あやめ公園仮設へ訪問。皆さん集会所に集まって私たちが来るのを楽しみにされていた。着いた途端、昨年も熊本に行ったRRチームスタッフが昨年お話したおばあちゃん(見越さん)との再会を果たし、涙を流す。今年もお元気な姿で私たちの珈琲を楽しみに待ってくださっていたことがたまらなく嬉しかった。
昨年撮影した写真のアルバムをお渡しすると、「もちろん覚えていますよ」ととても喜んでくださった。隣にいたおばあちゃんが「私は映っていないのよね~」と羨ましそうに話すと「スタッフさんと一緒に写真を撮らないとだめなのよ」と笑いながら自慢しているのが、物凄く嬉しかった。
ここの仮設住宅でも新しい家を見つけて引っ越される方が多く、空室が増えていた。
小さな施設だからこそ住んでいる方同士の交流も盛んで毎日集会場で集まるというルーティーンができているそう。毎日顔を合わせているご近所さんがどんどん引っ越されていく中、残される方の寂しさは計り知れないだろう。
それでも仮設住宅で生活を続ける方は多く見越さんもその中のお一人。「私はずっとここに残るわ」と強い気持ちでおっしゃていた。
見越さんは、今年も「こんなに遠くまできてくれてありがとう」と言葉をかけてくださり、私たちの撤収作業が終わるまでずっと見守ってくれた。
小さなきっかけからはじまった熊本とのつながり。昨年も今年も私たちを迎え入れてくれて、昨年お会いした方とは「久しぶり」と笑顔で言い合える関係性になれた。
まるで故郷に帰ってきたような安心感のある時間だった。
「珈琲屋台でよみがえる、暮らしと想い出」へ続く
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