#バックパッカー#台湾#島に呼ばれて#旅#珈琲屋台

島に呼ばれて -ディープ台湾編2-

写真と文:有村遊馬

 前回書いた通り、山岳大国である台湾の「山に呼ばれた」私だったが、あいにくトレッキングの装備は持ってきていなかった。そこで軽装でハイキング可能、かつアクセスも比較的容易な、阿里山に向かうことにした。ここは阿里山珈琲の生産地でもある。一端のコーヒー屋としても、スルーするわけにはいかなかった。

山岳観光地・阿里山

 嘉義市からバスに揺られ、阿里山へ。宿に荷物を置き、ホタル観察などしておとなしく床に着いた。

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 翌朝、夜明け前に阿里山鉄道に乗り込んだ。レトロな赤い車両が濃い霧の中を抜けてくる様はとてもフォトジェニックだった。

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 御来光を拝み、そのままハイキングコースへ。

 木道が整備されて歩きやすく、ハイキングというより散歩を2時間ほど。苔むした倒木や樹齢数百年の杉がとても気持ち良かった。たまに演歌を爆音で鳴らしながら賑やかに歩くおじさんがいたりするのが中華圏らしい。

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 近くには、阿里山珈琲を有名にし、各国のコンペティションで上位ランクインするまでに育てたという”コーヒー王子”こと、方政倫さんの農園・鄒築園があるという。農園見学の相談をしてみたのだが、さすがに直前すぎたのか、残念ながら満員にて参加不可だった。

台南の珈琲屋台

 下山し、台南へ。

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 台南のアートエリア・藍晒圖文創園區(Blueprint Culture and Creative Park)にて、non public coffee labという珈琲屋に出会った。

 彼らはオンラインと屋台のみで営業しているという。RR COFFEEのことを話すと、「僕らと一緒だね!」と意気投合。イケメンオーナーのJasonは、ただただコーヒーが好きで、コーヒーを学ぶためにアメリカから帰国したそうだ。そして焙煎機を買うためにNT$100000(約50万円)を借り入れ、non public coffeeを立ち上げた。まだ創業1年半ほどだが、立ち上げ資金はもう既に完済したという。屋台に来たお客さんに試飲を楽しんでもらえるように、ゲイシャをはじめ、さまざまな個性のあるスペシャリティコーヒーを自分で焙煎しているそうだ。日本に来ることがあったら、RRの珈琲屋台にも案内するよと、約束をした。

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旅のスパイス

 語弊を恐れずに書くと、台湾の旅はとてもイージーだ。

 LINE Payは使えるし、英語や日本語もできる人も多い。夜に一人で歩いても不安を感じないほど安全だ。日本人好みのセンスの良いお店も多い。新幹線は日本の東海道新幹線と見分けがつかないくらい快適で便利だ。

 ただ、変な話なのだが、一バックパッカーとしては、事の全てがスムーズに進んでしまう旅が、なんとなく物足りない感じがしていた。雑誌やネットのおすすめスポットをスタンプラリーのように巡ってきたからかもしれない。そのような話題の店はもちろんどれも素晴らしかったのだが、どこか予想だにしなかったようなトラブルやカルチャーショックを期待してしまう。なんとなく、このまま帰るわけには行かない気がしていた。

 ベッドの中でそんなことをぼんやり考えながらググっていると、台湾南部の少数民族の霧台という集落の情報にたどり着いた。前日の夜に、北部の街・宜蘭の宿を抑えたばかりだったが、ここには何かありそうな予感がした。

 霧台行きのバスは一日3本しかなかった。時刻表を調べると、まだ今日の便に間に合うタイミングだった。民宿やホームステイができる一般家庭もいくつかあるらしかった。

 急いで荷物をまとめた。

 昨日の夜洗った服はまだ生乾きだったが、まだ乾いてるものと分けてとりあえずバックパックに詰め込んだ。

 チェックアウトしたフロントのスタッフの方に、霧台での民宿確保を助けてもらった。ネットで見つけた中国語の民宿リストを上から順に、電話をかけてもらった。booking.comなどネット予約は使えない。そんな秘境で英語が通じるとも思えない。時間に限りがある中、私の怪しいカタコト中国語による電話は流石に無理だ。

 何軒か電話してくれたが、なかなか泊めてもらえるところが見つからなかった。どこも人気なのだろうか・・。

4軒目くらいでやっと一室とれた。やった!フロントの方から住所を書いたメモを受け取り、急いで出発した。

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(続き・完結編はこちら

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