#アルプス#テント#山に呼ばれて#登山

山に呼ばれて -長野・安曇野のシンボル 常念岳-

写真と文:ひかひん

午前3時半、普段なら絶対起きられない小さめのアラームで目を覚ます。

夏とは思えない肌寒さ、なのにまだ残る昨日の汗が染みついたロングヘアの気持ち悪さったら、寝起き最悪で有名な私でも反応してしまう。


ここは標高2,450mの常念小屋にあるテント場。
昨日、「なんで今日も来てしまった!」と心の中で叫びながら歩き続け、ようやく辿り着いた。

こんな標高のところでも人が生活できるよう整えられている。
山小屋っていうと、汚れていて外と変わらないような環境を思い浮かべる人も多いかもしれないが、小屋内にはなんと喫茶店まである!

出てきた生ビールと牛丼には涙が出そうなくらい感謝して、一瞬で平らげた。

山に呼ばれて -長野・安曇野のシンボル 常念岳-

今日はここから、さらに400mくらい上にある山頂を目指す。
寝起きの身体にアルファ米を注ぎ込み、なんか色はついたやろって感じの化粧で出発。

山が壮大だから、小さな悩みはどうでもよくなる、なんてことはない。

ヘッドライトの明かりの角度が気に入らずいらいらしたり、鼻頭に現れる汗を拭うタイミングに迷ったりする。

だんだんと空のグラデーションがはっきりとして、雲海の間から町が見えてくる。
「日の出、間に合うかね」と焦るふりをしながら、ゆっくりゆっくり足を前に出す。

山に呼ばれて -長野・安曇野のシンボル 常念岳-

ずっと下ばかり見ていたけど、
これまでより多く、
はっきりと人の声が降ってきて、ふと顔を上げる。


ああ、待ちに待った山頂だ。

山に呼ばれて -長野・安曇野のシンボル 常念岳-

山に呼ばれて -長野・安曇野のシンボル 常念岳-

気づけば1時間弱過ごしていた。

山頂の贅沢は登頂した人だけのご褒美なので、詳細は内緒だ。(でも、写真はぜひ見てほしい・・)

山に呼ばれて -長野・安曇野のシンボル 常念岳-

テントに戻り大きく息を吐いて横になる。この後は下山、その前に。

重い上半身をなんとか起こして、お湯を沸かす。
「ノラ、君もこんな高い場所に来るんは初めてやろ?」と思ったけれど、有村さんがもう連れてきているかもしれない。

荷物は最低限なので器具はなく、ドリップバックに精一杯の丁寧を注ぎ込んで、ひとくち。
虫が入るけど、あえてテントの入口を全開にして足を投げ出し、アルプスの山々の間を雲が流れるのを眺めておく。

山に呼ばれて -長野・安曇野のシンボル 常念岳-

残り少なくなっていくエチオピアの中煎り。

あんなに恋しかった下山後のシャワーが近づいているにも関わらず、ずっとここにいたいとさえ思えてくる。


だから、山はやめられない。きっとまた、来ちゃうんだろうな。

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